海

海水に接する環境ではサビ被害による性能低下や損傷が主な問題となっています。既存のソリューションでは、継続的なメンテナンスや環境・人体への安全管理に時間とコストを費やします。

おもな船舶での腐食

船舶は常に海水による水しぶきや多湿な環境によって常に酸化しやすい環境下にあり、ほんの少しでも塗はがれた部分があれば、そこから錆が発生し、直接鉄が侵食されてしまいます。

船はパーツが重なる部分の振動によってフレッチング摩耗も起こり、主に機械による振動や、海流や海風に配慮した構造部分によって引き起こされます。

ほとんどの金属製の建造物は様々な種類の金属が使用されており、その違った金属同士の結合部分においてガルバニック腐食が起こります。このガルバニック腐食というのは、二つの違った金属間で海水（塩水）が電解質として作用し、ガルバニック電池を形成することによって起こります。この分子の作用は金属が酸化する一つの典型的な要因です。

船体と埠頭側電源供給の接地部分の隙間から地電流が船体の角や突出部から海水へ流出し、港湾の電源供給となる海洋底まで流れていきます。電流が船体から流れ出るときに迷走電流腐食が起こりやすいです。

大量の海水噴霧により、泥や砂、海洋生物、構造的な窪みやシーリング材によって形成されたものであろうとも、水が隙間に蓄積されます。これにより、常に金属部分を湿った状態にし、目に見えない部分で腐食が起こり、 それが進むことによって金属内部へさらに水が入り込んでしまいます。これが隙間腐食というものです。

微生物腐食は、船体に付着したり隙間に堆積している特定の海洋微生物によって引き起こされます。微生物の活動は酸化物によって金属組織を変化させ、こうして腐食を促進させます。

Internal corrosion takes place in tanks, piping and pumping equipment in oil tankers. タンカーのタンクや配管、ポンプの設備の内部で内部腐食が起こります。

腐食の循環

構造的な弱さ--圧力ベアリング構造をもつ船が鋼で製造されるようになり、さまざまな深刻な腐食（錆）が構造上の弱さをうむ原因となり、安全性を保つことができません。荒れた海近辺にある船体は、通常の負荷に加えて船体にねじり応力がかかります。 弱った構造物はより曲げを引き起こし（ひどくなり）、フレッチング腐食をおこし、水が弱った接合部から侵入し、さらに構造を弱くします。そしてもちろん、十分に弱ったものは崩壊する恐れがあります。

腐食の原因となる水や汚れの侵入--開口部分の腐食は、しばしばゴムパッキンにたまった海水によって引き起こされ、パッキンの効果が弱くなると、密閉部分に水が浸入してしまいます。これらの密閉された場所は、水や埃が堆積するような内部構造が多くあり外部からは見えません。堆積物は侵入した水をためこみ、海水のプールをつくり、さらに腐食を促進させます。

電気的な障害を引き起こす水の侵入--上記に述べた接合部の弱体化は、水の電気設備機器への侵入もゆるし、回路のショートや電気配線の腐食を引き起こします。

水の侵入による洪水--接合部の腐食は水を船体内部へと入り込ませ、船を不安定な状態にします。 腐食したジョイント部分にたくさんの穴があき、水道のパイプラインにおいては、やがて大量の水があふれだすことになります。

船のどの部分が腐食に弱いのでしょうか

船体および上部構造

腐食されやすい部分は船体と上部構造部分で、ここは24時間常に外気に露出した状態にあります。

エンジンの熱交換器

船のエンジンは自動車と同じように、通常冷却材・凍結防止剤・耐食剤の混合されたものを使って冷却されます。エンジンを通った後、この混合液は海水の中を通るような回路の熱交換器によって冷やされます。（自動車のラジエーターのようなもの）その熱交換器の海水に触れ合う部分は塩水や海洋生物の死骸などの堆積によって腐食がおこりやすい。

バラストタンク

いくつかの船、特に大きな貨物船やオイルタンカーなどにはバラストタンクが備え付けてあり、船の重さを調整したり、安定性を保つために使われます。バラストタンクには水やしばしば海水が使われ、とても腐食しやすいです。

バラストタンクは万遍なく腐食することはありません。バラストタンクの上部はタンクが満タンでも隙間をつくり、 周囲の温度環境による熱サイクルや、豊富な酸素や振動などの影響を受け、簡単に腐食が起こります。 常に水中にあるバラストタンクの下部は、くみ上げられた水の中にいる海洋微生物が堆積しやすいです。 また、空のときでもうすい塩の電解質の幕が表面にのこります。これらが腐食を引き起こします。

近年の二重船体のタンカーはバラストタンクが完全に分離した構造になっており、これはさらなる脆弱性があります。空のタンクは温まった貨物室と外の冷たい海との断熱材のような役割を果たします。腐食率は温度差によって増加するため、バラストタンクの貨物室側は従来のものよりも早く腐食が進みます。

オイルタンカー特有の脆弱性

オイルタンカーの石油タンクはスウィート環境やサワー環境の腐食に対して弱く、スウィート環境における腐食は、少しの硫化水素と炭素のみの環境で起こります。（Ｈ2Ｓ　分圧 0.05 psi）サワー腐食は、硫化水素の分圧が0.05psiを超える環境で起こります。硫化水素自体は腐食しませんが、含水ガスの環境下では鋼鉄製のパイプの内側の表面が腐食します。

スイート腐食はパイプラインの内側に穴をあけるが、サワー腐食はそれよりも深刻で、タンクの構造的な欠陥を招くことになります。

加えて、水の侵入やタンクの底の堆積物が腐食を悪化させます。この湿気は温暖な気候とともに蒸発し、その後外気温が下がった際、タンクの内側全体に再凝結することがあります。

腐食にかかわるコスト

アメリカ海軍の年間の錆被害対策に関するコストは約27億ドルです。この内訳は、新しい船に対して11.2億ドル、メンテナンスや修理で8.1億ドル、腐食関連におけるダウンタイムに7.85億ドルです。(参照：JOHNSON J.; Cost of corrosion in ships, report. Dublin, Ohio: CC Technologies Laboratories, Inc.; 2001; KOCH GH, BRONGERS MPH, THOMPSON NG, VIMANI YP, PAYER JH.; Corrosion costs and preventive strategies in the United States. US Federal Highway Administration; 2002. Report FHWA-RD-01-156; DE BAERE K, ET AL. In situ study of the parameters quantifying the corrosion in ballast tanks and an evaluation of improving alternatives, NACE Conference Papers, Houston; 2011).

船の90％は鉄でできています。我々は世界の鉄製の構造物のうち、約25％は腐食によって破壊されていると思います。言い換えれば1秒に5トンの鉄が腐食されていっている状態です。錆被害にかかる費用は、フランス軍やアメリカ軍で年間数千万ユーロといわれています。

Project

空

航空機の部品や設備はアルミニウムで作られているものが多く、湿気の多い環境でで劣化していきます。外部部品だけでなく、ケーブルなどの内部への措置の必要です。危険の条文な予防措置にかかる時間とコストは莫大です。

航空業界は長年の間、機体本体への腐食（サビ）対策を行わなければなりませんでした。金属で作られた機体は、長期にわたって使用する中でさまざまな違ったサビの問題にぶつかります。現在の飛行機の４機に１つは２０年以上使用されているといわれています。

1990年代にさかのぼると、1995年にボーイング777が業界で始めてサビ対策を施した機体を製造するまでの間、サビに対しあまり関心がありませんでした。

腐食を早める要因とは？ 環境---航空機の環境が、発生するサビの特性に大きく影響します。サビ被害に対しては、海水を含む海洋環境が最も有害であり、害の少ないのは空気が乾いた環境です。温度も腐食率を左右する重要な要因で、高温多湿な気候は最も有害です。

極端な温度や気圧の変化--飛行機は高度に上昇したり、着陸のために下降したりと、常に気温や気圧の変化がともないます。亜熱帯地域であっても、高高度中の気温は-40℃にも達し、気圧は0.2気圧まで下がります。

その結果。。。 周囲の水分が機体の外側や内部の構造物、電気系統や着陸する為のギア等の重要な機器に凝結します。

構造上密閉された空間でさえも、圧力差によって湿気が入り、長い時間をかけて徐々に接合部分からのも水分が侵入します。 異物--バッテリー液漏れ、洗浄液、エンジン排気残留物、大気中の土や埃。

トイレや調理室での漏水--構造内部での湿気の累積の検出は容易ではありません。

航空機の年数にともない、これらのサビが発生する要因も累積され、サビ被害の問題はより深刻になっていきます。 腐食が起こるメカニズムとは？ 糸状腐食は塗装の下に繊維のような形状の膨らみとなって現れます。これは塗装のひび割れから湿気が浸入したことによっておこります。

ガルバニック腐食は電解質となるものの中に異なった二つの金属が存在することによって引き起こされます。 航空機に使用されているアルミニウム合金は、アルミニウム＋銅やマグネシウム、マンガンなどです。防腐処理を施されていない状態で合金を水分にさらすと、粉末状の白またはグレーの腐食物を生成します。炭素繊維とアルミニウムの接触によりガルバニック電池ができ腐食を引き起こします。

腐食孔は表面に小さな穴を生成します。それらの小さな穴がどんどん深くなり、やがて構造内部へ到達すると、構造上の整合性が保てなくなります。上記で説明したガルバニック腐食の腐食メカニズムは、傷ついた塗装層にたまった水（電解質）によって引き起こされ、それが腐食孔となって深く腐食が進むことにより電解質となる水を溜め込み、腐食を加速させます。

フレッチング腐食は振動や構造上の屈曲によって金属表面同士が繰り返し接触することによって引き起こされます。これはボルトやリベットの周辺で起こることがあります。このフレッチング作用により、表面の保護膜（塗装層）が剥がれ、じかに金属を腐食（サビ）要因となる物質に触れさせることになります。表面にできた傷（亀裂）を確認することができます。

剥離 - 機械加工されたものや損傷した先端の表面は荒く、そこから粒子表面へと腐食（サビ）が侵食していきます。腐食（サビ）生成物は元の金属よりも容積が大きく、端の粒子表面を押してさらに腐食（サビ）を進行させます。

応力腐食は本質的に腐食生成物を有する高張力鋼において発生する典型です。これは腐食性の高い環境において、高い圧力下で起こります。誤った組み立て手順による不整合や、公差があるときにも起こりえます。

微生物腐食は主に一体型のアルミニウム燃料タンクやそのパイプの内部に水分が入り込むことによって発生します。その水分は、タンク内部の湿気が凝結したものであったり、オイルの不純物として入り込んだものです。 真菌は航空機が倉庫に入っている期間に、水と燃料の境目で成長します。生物の酸性消化生成物はタンク内部やパイプの表面にある防腐層を破壊します。

その結果どうなるでしょうか？ 安全性は・・腐食し弱体化した機体は、金属疲労や壊滅的な損傷を引き起こす可能性があります。その他着陸ギアやエンジン、電気機器などの腐食も安全性を脅かします。

腐食（サビ）対策にかかる費用は？ アメリカの航空機産業では、設計および製造に2億ドル、サビ対策関連のメンテナンスに17億ドル、稼働停止時間のために3億ドル、総額で約22億ドルかかるといわれています。(出典：Corrosion Costs and Preventive Strategies in the United States, Publication No. FHWA-RD-01-156, US DEPT OF TRANSPORTATION, FEDERAL HIGHWAY ADMINISTRATION).

街

建物、車両、橋等、私達の生活には錆びやすいものがたくさんあります。既存の洗浄や塗装、塗装溶液は危険な物も多く、大規模なインフラに適用する場合には、多額の費用がかかります。

コンクリートは、一見すると外部環境の被害から保護されているようにも見えても、コンクリート自体が張力ではなく圧縮応力のみに対して耐えることができるため、常に内部の鉄骨で補強されている必要があります。コンクリートの中にあるものは目で見ることができないので見落としがちですが、最終的にさびるのでしょうか？答えはYESです。

腐食（サビ）発生のメカニズム

見た目とは違い、にコンクリートは基本的に湿っています。それゆえ、鉄骨は常に湿った環境下にあります。しかし、コンクリートは高アルカリ性ですので、鉄骨の酸化を防ぐ役割も果たしています。

　A:汚染物質 コンクリートのアルカリ性を中和するものであれば、それが酸素をコンクリート内部まで侵食させ、最終的に鉄骨に酸素を到達させることができます。一般的な汚染物質とは---- 海水や道路の凍結防止剤に多く含まれている塩化イオン 大気中で水分を含んだ二酸化炭素がセメントの石灰と反応して生成される炭酸 都会の汚染された酸性の大気中にある亜酸化窒素です。

上記で説明したものがアルカリ性を失わせ、セメントを通り抜けて酸素を鉄骨まで到達させます。

B:　機械的なストレス 建造物には常に振動や荷重の変化、その他後述する環境的な負荷がかかります。機械的な負荷は、コンクリートを変形させ、小さなひび割れを起こしたりします。ひび割れが起こると、酸素は簡単に中の鉄骨に到達してしまいます。

C:環境への影響 温度-一般的に高温であるほど腐食（サビ）を促進させ、低温（主に氷点下）であるほどその速度は遅くなります。 湿度-相対的に湿度が高いと腐食（サビ）が加速します。湿度による影響はTOW(time of wetness)によって決まります。すなわち、構造物の表面に湿った層を形成するのに好条件な時間の長さです。湿度はアルカリを中和し、それゆえに酸素の侵入を促進させます。

海上環境 - 高い湿度と海水によってコンクリートに塩化物イオンを投じ、アルカリを中和しそれゆえ酸素の侵入を促進させます。

土壌-土には塩化物と硫酸塩が豊富にあり、基礎部分のアルカリ性を弱め、腐食を促進します。

凍結と融解サイクル-水が凍ると、その体積は10％弱増加します。小さなひび割れに水分が入り込み、それが凍結することによってさらに大きなひび割れとなります。周囲の温度変化により凍結と融解を繰り返すことでひび割れを大きくし、内部の鉄骨へと酸素が到達します。 環境の違い-構造内部の酸素濃度、酸性度、湿度、塩分濃度の違いが、酸素のセメントへの侵食促進に影響します。

D:停滞水と排水

多くのコンクリート建造物では、コンクリートの物理的な構造上の点や、排水経路の問題などから、排水（主に雨水）が不十分です。いずれの場合も水がどこかの場所にたまり、その場所でコンクリートのアルカリ性が低下し、それによって酸素の内部鉄骨への侵入を許してしまいます。

E.フィードバックループ

上記のいずれかの状況によって内部の鉄骨の腐食が始まり、錆びることによって鉄骨自身の体積を増加させます。こうしてコンクリート内部より発生した圧力により、すでにある亀裂をより拡大させ、また内部から外側にむけて新たな亀裂が生じます。そして鉄骨がより酸素に触れることになり、腐食が進みます。腐食（サビ）とともにさらなる亀裂がともない、時間とともに腐食が進みます。

結論 コンクリート内の鉄筋の腐食は主に２つの結果をもたらします：

腐食はコンクリート内部の鉄骨の体積を増加させ、亀裂を生み、最終的に倒壊の原因となります。 鉄骨自体が腐食（サビ）によって脆くなり、鉄筋コンクリートの強度を著しく低下させます。 上記の二つの要因により、外的環境の変化や加重により構造的な破壊をもたらすことにつながります。昨今の道路橋の崩落の問題などはこれに起因するものが多いです。

防錆対策にかかるコストは？

　によりますと、アメリカでの防錆対策にかかる推定年間費用は下記のとおりです。( CC Technologies Laboratories, Inc. conducted between 1999 and 2001の調査による).

高速道路橋：83億ドル ・・・向こう10年で補強や取替えにかかる費用が38億ドル、コンクリート橋のデッキメンテナンス費用に20億ドル、コンクリート建造物のメンテナンスに20億ドル、塗装された鉄橋のメンテナンスに5億ドル。さらにライフサイクル分析によると、このメンテナンス等の作業によって引き起こされる交通渋滞などによる利用者が負担する間接費用はこの10倍といわれています。

水路や港湾：3億ドル

・・・腐食（サビ）は主にドックや埠頭、係留場所、バルクヘッド、岸壁、灯台などの設備で起こります。これらの腐食対策にかかるコストは基本的には計算されていませんが、によると、年間の防錆対策費用は3億ドルといわれています。